2021.6.26 / 健康
「うちの社員はみんな元気。」 「健康経営は大企業が取組むもの。」
このように考えている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?健康経営は中小企業こそ取組むべき必要があります。
経済産業省が認定している健康経営優良法人の中小企業部門には7000社以上が認定されており、多くの中小企業が健康経営に積極的です。今回は何故中小企業が健康経営に取組むメリットがあるか理由をご紹介します。
①企業イメージアップ
健康経営に取組むことで「従業員を大事にする会社」として企業のイメージアップに繋がります。更に健康経営銘柄などの認定を受けた場合にはメディア掲載されるなどのPR効果を得ることができます。
②表彰制度
健康経営に取り組んでいる企業の社会的評価を高めるために、経済産業省や各自治体が等による健康経営の顕彰制度が広がっています。一番有名なのが経済産業省による健康経営銘柄・健康経営優良法人で2015年に始まりました。最新の健康経営優良法人2021には9,735法人が認定され5年間で17倍以上に急増しています。
出典:健康経営の推進について
①社内の活性化、従業員の仕事満足度やモチベーションの向上
健康経営に継続して取組んでいる企業への調査によると、健康経営開始後の変化として社内コミュニケーションや従業員モチベーションが向上したと回答した企業が多くありました。
②離職率の改善
社内コミュニケーションが活性化し、従業員満足度やモチベーションが向上することにより離職率が改善(低下)し、優秀な従業員が定着しやすくなります。健康経営度調査に回答した企業の平均離職率は4.6%と、全国平均の11.6%を大きく下回る結果となっています。
③リクルート効果・優秀な人材の獲得
従業員の健康に配慮している企業、「働きやすい企業」として認識されることで優秀な人材を獲得しやすくなります。
就活生及びその親を対象にしたアンケートでも、就職先に臨む勤務条件として「従業員の健康や働き方への配慮」への回答率が高いことが分かっています。
出典:健康経営の推進について
①従業員の生産性向上
従業員が心身ともに健康な状態で仕事に取組める環境を整えていくことで、良いパフォーマンス、高い生産性を発揮することができるようになります。メンタル面の不調や、肩や首のコリ、腰痛など「出勤して仕事はできるけれど不調を抱えている」状態では、パフォーマンスを100%発揮することはできず、個人の生産性は低下する一方となります。
健康日本21フォーラムが発表した「疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響に関する調査」によれば、健康な状態での業務遂行能力を100としたとき、メンタル面で不調があると業務遂行能力は6割以下に低下、肉体の不調があると7割以下に低下してしまいます。
②健康保険の企業負担の削減
平成29年度の健康保険組合の予算集計結果によると、健康保険の経常赤字額は3,060億円に上り、全組合の7割以上が赤字に陥っています。そして赤字部分の負担は企業が担っています。どんなに事業の売上を伸ばしても、健康を損なう従業員が多ければ医療費という思いがけない負担が生じてしまいます。
企業が従業員の健康管理・健康増進を行うことで、従業員が病気にかかることなく仕事することができるようになり、結果として健康保険を使う回数が減り保険赤字が減少することに繋がります。
③リスクマネジメント
従業員が心身の不調を抱えている場合、仕事への集中力が落ちる結果、事故や不祥事を起こしやすくなります。従業員の健康を管理することは、リスクマネジメントの一環でもあり、企業を守ることに繋がります。
企業のご担当者様は実際に健康経営に投資をしてどれくらいの効果があるのか不安に感じる方もいると思います。
ジョンソン&ジョンソン社が世界250社、約11万4,000人の従業員に健康教育プログラムを提供し、その投資にどれだけのリターンがあったのかを調べた結果が公表されています。
結果は、健康経営の投資(人件費・保健指導利用費・システム開発費/運用費・設備費用)を1ドルとしたときのリターンは3ドルあったとされています。この調査でのリターンは大きく5種類「生産性の向上」「医療コストの削減」「モチベーションの向上」「リクルート効果」「イメージアップ」とされています。
いかがだったでしょうか。健康経営に取り組むことで、従業員の生産性向上、企業組織の活性化、企業価値の向上など様々なメリットがあることがお分かりいただけたと思います。
それぞれのメリットの大きさは企業の抱える課題によって異なる点に注意してください。自社の抱える経営課題は何か、そしてその経営課題の解決に健康経営への取組が繋がっているかを意識しながら具体的な施策を考えることで、「自社にとって健康経営に取組むことの意義」が見えてくるのだと思います。